鵜原理想郷(千葉県勝浦市鵜原)

冒険日: 2019/5/23
天候: 晴れ
総歩行距離: 5795m
所要時間: 79分

GPSログがバグって飛んでいるのはご容赦願いたい

はじめに

鵜原理想郷は、悠久の時をかけて太平洋の荒波に侵食され続けた海岸線が美しい景勝地である。およそ2kmにおよぶトレッキングコースが整備されているため、よほど足に自身がない方を除いては誰でも踏破することが可能だ。歌人与謝野晶子も愛した光景をぜひご自身の目で確かめて頂きたい。千葉県勝浦市を訪れた際には一度足を運んでみることをおすすめする。

今回は冒険とは言えない軽いトレッキングとなるが、お付き合いいただければ幸いだ。

推奨装備

一般的な服・歩きやすい靴

記録写真

エントリーは、鵜原館近くにある無料駐車場に車を停めてからとする。
経路は整備されておりわかりやすいが、このマップをスマホやデジカメなどで撮影しておくと後々便利なので、撮影をおすすめする。
入り口は鵜原館の大きな看板があるので、非常にわかりやすい。
いくつかの素掘りの隧道を抜けていく。
径はしっかりと整備されており非常に歩きやすい。
隧道内を吹き抜ける5月の爽やかな風が気持ち良い。
まずは直進せずに左の階段を探査してみるとしよう。
階段を降りていくと小さな浦が現れた。ここだけでも、侵食された断崖の美が楽しめる。
左奥に進めそうな径があるので少し探査してみるとしよう。
コンクリートで作られた橋が続いている。
とても幻想的な自然の窟。
径沿いに補強された入り口を発見した。中を覗くとかなり広いスペースが広がっている。
奥へと進むと、 下には海水が外から流れ込んでいる。 どうやら自然の生け簀として使われた居た場所のようだ。あるいは現在も使われているのかもしれない。
小さな浦の探査が終了したので、先ほどの場所まで戻り、理想郷方面へと進む。
なだらかな登りが続く。
またもや気になる分岐が現れた。右へ上る道は理想郷の正規ルートだが、左はどこへと続いているのだろうか。ひとまず左の径を探査してみよう。
先ほどの径を進むとだいぶくたびれた小屋へとたどり着いた。これ以上は進めそうもないので来た道を引き返す。
海を見ながらのトレッキングは何とも言えない爽快感がある。
目指す第1の岬「手弱女平(たおやめだいら)」はもうすぐだ。
今は無き晴海小学校の生徒たちが植えた木々が立ち並ぶ自分の木通り。
文人・篠田悌二郎の詩の石碑。
目指す手弱女平も、もうすぐそこに見えている。
手弱女平へと続く小径。
ここ手弱女平(たおやめだいら)は2017年に縄文前期の土器片が見つかった岬である。
もしも、与謝野晶子などの時代にこの事実がわかっていればどのような歌が生み出されただろうか。海を見下ろす縄文人の集落に思いを馳せながらしばし休憩する。
手弱女平「幸せの鐘」手前にある東屋。弁当など持参し家族で食べるのも気持ちが良いだろう。
「幸せの鐘」は大きな風化した一枚岩の上に建立されている。
「幸せの鐘」まで到達した。この鐘は自由に鳴らせるので到達記念にひと鳴らししよう。
写真奥に見える断崖は”ひとつ山”と呼ばれる小山だ。
東側を見ると勝浦海中展望台や、遥か向こうに勝浦城址公園(八幡岬)を臨むことが出来る。
ひとつ山。
歩くのに自信がない方は手弱女平を見学するこの辺りで駐車場へ引き返すと良い。
来た径を分岐まで戻り、毛戸岬を目指す。
少し進むと、まっすぐ奥に伸びる径と、上へ上る径があらわれた。とりあえず上へ登る径から探査してみよう。
上の径はただの草原に続いているだけだった。
気を取り直して下の径を進もう。
理想郷周辺のスポットの名称が詳しく掲載されている。
しばらく進むとまたもや分岐が現れた。まっすぐ奥に進むと毛戸岬、写真右側を降りていくと”毛戸浦”という磯に出る。
まずは、毛戸浦を目指して降りて行こう。
降りていく途中に現在では使われなくなったであろう建屋郡が現れた。宿泊施設か何かだろうか。
海が見えてきた。
磯には地元の小学生らが磯観察に訪れていた。磯内を詳しく探査したかったが、今のご時世私のようなものが無理やり小学生の中に入っていったら不安にさせてしまってもいけないので、毛戸浦探査は次回までにとっておこう。
毛戸浦は、先ほど手弱女平から見下ろしていた”ひとつやま”が目の前に迫っている、とても穏やかな浦である。
先ほどの分岐まで戻り、毛戸岬を目指す。
毛戸岬に到達した。毛戸岬は手弱女平と違い先端が細くなっている岬だ。
ここにも東屋が設置されており、ゆっくり休憩が出来る。
東側の眺望。
少し向こうには”鵜原島”が見える。今日はドローンを持ってこなかったので探査は見送りとする。
西側の眺望。人工的に切り取られたであろう断崖が見られる。これはこれで良いがやはり自然の風化で造形された崖の方が美しい。
少し引き返し今度は白鳳岬を目指そう。
写真左が白鳳岬へと続く分岐、右が鵜原海岸へと続く分岐だ。まずは白鴎岬の径を進む。
ここ鵜原理想郷は、”理想郷ヤマユリの会”の皆さんの活動のおかげで、7月~8月には見事なヤマユリを愉しむことが出来る。本日の探査は5月のためまだ時期が早いが、夏季に訪れた方はヤマユリのことを念頭において歩くと良いだろう。
白鳳岬へ到達した。
いずれ眺望も復活するであろうが、現在はこのように草に覆われて南側がほとんど見えなくなっている。
西側の眺望。
白鳳岬からは鵜原海岸を一望できる”黄昏の丘”へ続く径。白鳳岬と黄昏の丘はとても近いのですぐに行くことが出来る。
黄昏の丘休憩スペース。ここは東屋になっていないが、屋根がないのが正解である。美しい鵜原海岸の砂浜と透明度の高い穏やかな海を一望できる。
珈琲など持参して至高の一杯を味わいたい。
黄昏の丘の先には更に奥へと続く径がある。せっかくなので進んでみよう。
山路を進んでいくと行き止まりに鳥居が現れた。
神社の階段を登ると、大杉神社の社があった。大杉神社は約600年前に建立された歴史のある神社だ。いつも神社参拝の作法を忘れてしまうので、適当な作法で参拝し大杉神社を後にする。
先ほどの分岐まで戻り、鵜原海岸へと降りる径を進もう。
実は鵜原理想郷には2か所エントリーポイントが存在する。
ひとつは当レポートで紹介した、鵜原館近くからエントリーするルート、もう一つはこの分岐を右に降りた鵜原海岸側からエントリーするルートだ。(当レポートの逆順)
どちらから進んでも良いが、車やバイクで訪れた方は鵜原館側から、徒歩で訪れた方は鵜原海岸側からエントリーするのが良いのではないだろうか。
こちら側の径は整備されておりかなり歩きやすいが、少し趣にかける。
目の前に鵜原海岸が見えてきた。
この隧道を抜けると鵜原海岸沿いの径へと到達する。
元々は弾薬庫だろうか。漁具が収納されている。
勝浦にはこのようなもともと弾薬庫や防空壕などを利用した保管庫が多数存在する。

美しい鵜原の海。
この便所のある場所を写真右に進むと駐車場のあたりに出られる。
長くて天井の低い素掘りの隧道が現れた。ここは天井が非常に低いので常に頭を低くして注意して進まないといけない。
隧道の先は勝場港という小さな入り江があった。この入り江の断崖もなかなか見応えがある。天気が良いせいか、高校生くらいの若い女性たちがスケッチをしている。
勝場港の奥に更に隧道があったので進んでみよう。こちらの隧道はずいぶんしっかりとした造りだ。
隧道の先はまた港になっていた。こちらの港は長入港という港だ。
勝場港に戻り、事務所脇を通り車の停めてある場所へと進む。
スタート地点へ戻ってきた。以上で当レポートは終了とする。

鵜原理想郷付近のドローン空撮

http://boukennosyo.wp.xdomain.jp/ubara-kayaku/

おわりに

今回は景勝地という冒険とはかけ離れたテーマであったが、たまには整備された道を歩くのも良いものである。

何より、この鵜原理想郷は現代ではそこまで有名にはなっていないが景観といい、ほどよい距離といいもっと評価されるべき景勝地である。
あまり有名になりすぎて人で溢れかえるのも考え物だが、気になった方は一度足を運んでみると良いだろう。

また、自分の木通りなどの子供たちの想いがこもった場所や、手弱女平の美しい風化した岩場などに落書きなどは絶対にしないようにして頂きたい。