【天岩海道 Vol1】小浦海岸~長浜海岸小浦口~長浜海獄覗き~長浜海岸ひょうたん口(千葉県御宿町・千葉県いすみ市)

冒険日: 複数日

はじめに

日西墨三国交通発祥記念之碑、通称メキシコ記念塔のほど近く、海洋生物研究所脇の小径を進むと隠れたビーチ「小浦海岸」がある。ここ最近、俄かに有名になったが、私が「大波月海岸」、「小波月海岸」と同じく少年時代より愛するプライベートビーチのひとつだ。当時は陸から海中へと伸びるアーチ状の岩があり、それは見事な景勝の地であった。(当時私が撮影した写真があるので後述する)

海岸へと続く道には、真っ暗な素掘りの隧道があり、ちょっとした冒険気分を味わうことも出来るので、子連れで楽しむのも良いだろう。

小浦海岸だけでは、すぐに到達してしまうので今回は長浜海岸小浦口(小浦口というのは私の勝手な命名)までの行程も紹介しよう。

今回のレポートは2部構成とし、前半は小浦海岸から長浜海岸小浦口まで、後半は魚つき保安林から長浜海岸ひょうたん口までを記録する。このコースには名称がないため、便宜上私が勝手に「天岩海道」と命名する。岩の上を歩いていくコースなので、このように命名した。

また、当記事後半には到達超難易度スポットの長浜海獄覗き(私が勝手に命名)の様子も記載したい。ただしこちらの場所は道も何もないので、最悪踏み入れたら帰ってこられなくなる可能性がある。熟練者以外は写真で楽しむだけにした方が良い。

それでは早速、写真と共に行程を記していこう。

推奨装備

エントリー~小浦海岸まで・・・一般的な服

小浦海岸~長浜海岸小浦口・・・長袖・長ズボン・棒・帽子・トレッキングシューズ(夏)、一般的な服・棒(秋~春)

魚つき保安林~旧道~長浜海岸ひょうたん口・・・ワークマン長袖長ズボン装備・帽子・トレッキングシューズ・フェイスマスク・マウスガード・棒やナタ・バックパック・水・食料・ウェットティッシュ・軍手

長浜海獄覗き・・・ワークマン長袖長ズボン装備・ヘルメット・トレッキングシューズ・フェイスマスク・マウスガード・棒・バックパック・水・食料・ウェットティッシュ・タオル・レスキューグローブ・ロープ・等高線図・コンパス

記録写真

エントリー~小浦海岸

昔はこのような目印はなかったが、現在は海洋生物研究所脇の小径の入り口にわかりやすく立札がある。

俄かに人気が出て、道程もかなり歩きやすくなっている。

小径を歩いていくとすぐに隧道が見えてくる。地元では昔から幽霊が出るとの噂もあったが、人気スポットになった今となってはすっかり幽霊も出て来にくくなってしまったことだろうwとはいえ、真っ暗な隧道を独り歩いていると心細い気持ちになる。隧道内には2ヶ所横穴があるので、ゲジゲジやコウモリが大丈夫な方はお邪魔してみるのも良いだろう。

下記は10年程前の隧道前の様子。(2018年9月撮影)

昔は敷石もなくぬかるんだ道だった。(2008年撮影)

隧道横穴にはゲジゲジが多数生息している。

隧道出口の様子。内部のと外のコントラストが美しい。

隧道を出ると、平坦な道が続く。

道の東側は写真のように湿地帯になっている。当時は水田だったのだろうか。

潮騒が近づいてきた。俄かに視界がひらけ、太平洋が姿を現した。

小浦海岸へ降りる前の広場を撮影しようと構えてシャッターを切った瞬間、向こうの藪の中から正装をした男女が出てきてびっくりした。特に女性はウェディングドレスのような格好であのオフロードを進んだのだから尊敬の念を禁じ得ない。後からカメラマンも姿を現し、どうやら撮影をしていたようだ。驚きのあまりこの場所の写真はこの1枚しか撮っていなかったので、こちらを掲載させてもらう。

写真右に下ると小浦海岸へと降りることが出来る。奥の草むらを進むと、長浜海岸や魚つき保安林へと進むことが出来る。(小浦海岸に一度降りても写真奥の草むらに合流する道へ行くことも出来る。今回はそちらのルートをとる。)

小浦海岸。誰もいないプライベートビーチ感を満喫できる。上記写真を見てほしい、赤丸で囲んだ部分は、かつて岩のアーチが岸壁へと架かっており、それは素晴らしい景観だった。

下記に2008年に私が撮影した写真があるので、併せてご覧いただきたい。

当時はこのように、岩のアーチをくぐることが出来た。当時は仕事の合間に訪れたため、夕景になってしまった。その後すぐに再訪すると、既にアーチはなくなっていた。このアーチが現存すれば、今にもましてインスタ映えするスポットであっただろう。

大波月のローソク岩も然り、ここ最近風化、崩落が進み景観が著しく変わってしまった。

小浦海岸付近のドローン空撮

小浦海岸~長浜海岸小浦口

さて、話を現在に戻そう。この奥に進むと、先ほどの男女が出てきた草むらに合流できる。奥に進む前に海岸を少し北に向かって歩いてみよう。

少し北へ歩くと、このような窟を発見することだろう。下記を読み進めると、この窟に行く方法も記載してあるので、参考にしていただければ幸いだ。

夏に行くと樹勢が強く、道がわかりづらいが、注意深く見ると踏み固められた場所があるので迷うことはないだろう。

少し進むと小浦海岸の象徴的なスポットの素掘りの窟が見えてくる。先ほどの小浦海岸中央北寄りの所から見上げた窟だ。

窟の内部はこのように二股に分岐しており、海岸北側と東側を覗き見ることが出来る。子供など連れて行くと大喜びだろう。ただし、崩落や滑落(特に東の覗き穴側)の危険もあるので十分に注意したい。

アーチの基礎部分が見える。

穴の手前の道を矢印方向に進むと、長浜海岸へ向かうことが出来る。ここまでのコースは初心者コースだが、この先は夏に来ると中級者コースになるので軽装で行くのはお勧めできない。とはいえ、かくいう私は今日は小浦だけと予定していたのでTシャツ、ハーフパンツ、トレッキングサンダル、ドローンを背負って、一眼をぶら下げてというお気楽観光スタイルだったので、この先苦労することになるのだがw

秋~春はさほど厳しくないので軽装でも問題ない。

この辺りで手ごろな棒切れを入手しておくと良いだろう。蜘蛛の巣が激しいので、それらを打ち払うには必須のアイテムだ。

トトロに出て来そうな小径が姿を現す。周囲の藪は大人の背丈を優に超える。

春頃、子供と行ったときの小径。春はとても歩きやすい。

何度も言うが、とにかく夏は樹勢が強く道がわかりづらい。写真右奥に行くと長浜海岸小浦口に向かうことが出来る。左側の道は魚つき保安林へと続く。

まずは最初に長浜海岸小浦口へ向かってみよう。

夏に行くとこのような道を進むことになり、アップダウンもとても激しい行程だ。

高いところからはこのような眺望もあり、なかなか気持ち良く歩くことが出来る。

長浜海岸小浦口が近づいてくると、斜面が少々きつくなり、ロープが設置されている箇所も多くなる。

長浜海岸小浦口に到着した。

ここから長浜海岸に降りることは可能だが、滑りやすく波が岸壁ぎりぎりまで来ていることが多いので濡れても良い格好で慎重に降りなければならない。景色を楽しみたい方は小浦口から、実際にビーチに降りたい方はひょうたん口からアプローチすると良いだろう。

ひょうたん口からのアプローチは別の記事で紹介する。

ここからは見えにくいが、長浜海岸は読んで字のごとくかなり長い距離の砂浜を有している。それでは今度は魚つき保安林を通り、長浜海獄覗きまで行ってみるとしよう。

魚つき保安林~長浜地獄覗き

先ほどの分岐まで戻り、今度は左側に進んでいく。

赤い杭が保安林へと導いてくれる。

杭が抜かれていた。いたずらだろうか。

迷う人がいるといけないので、刺しておいた。

こちらへは降りたことがないが、どこかに続いていそうである。今度調査してみよう。

保安林を進む。

小浦海岸へ降りる広場付近から、このようなアートが所々に描かれている。誰が描いたものか私にはわからないが、海道を歩くときの探索要素としてはなかなか面白い。これらのコースを歩くときにはぜひ探してみるといいだろう。

更に保安林を進むと、この辺りで一番高そうな場所を見つけたので登頂してみる。

頂上の様子。ただの藪だがw

標高は85mくらいのようだ。

今回はこのまま保安林を進まずに、長浜海獄覗き(私が勝手に命名w)へ行ってみるとしよう。この赤い一本線が入った立杭の斜面上方をよく見ると、石碑がある。この石碑を目印として、長浜海獄覗きへ降りていく。冒頭にも書いたが、この先は上級者コースとなるので、最悪踏み入れたら帰ってこられなくなる可能性がある。道なき道を行くので、コンパスの扱いや、等高線図の読めるような熟練者以外は写真で楽しむだけにした方が良い。どうしても行く場合は自己責任の元、パーティを組んで安全確認をしながら行くといいだろう。

彫ってある字が読み取れないが、後ろ側には明治42年1月許可と書いてあるような気がする。

急斜面を降りている途中、うり坊のようなものがさっと目の前を横切った。その先にはイノシシの蒐場であろうかと思われる場所が出現した。

蒐場。

いくつかの蒐場を越えて行く。潮騒が近い。

ついに長浜海獄覗きへ到達した。写真ではわかりにくいが、かなりの高さで、足を滑らせたら命はないだろう。せっかくなのでドローンを飛ばしたいが、上方視界が開けていないので、さすがに離陸は厳しそうだ。手持ちのスマホで動画を撮影したので、参考前に見て欲しい。

長浜海獄覗きのおおよその場所は、上記地図青丸の部分だ。

おわりに

今回のレポートはとても長いので続きは後半とさせて頂こう。

読み進めれば進めるほどハードになって来て面食らった方もいるだろうが、小浦海岸までは本当に気軽に行けて、ちょっとした冒険気分も味わえるコースなので、ぜひ一度訪れてみることをお勧めする。

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